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NC技術と職人技を駆使!東京2020オリンピック・パラリンピックのメダルケースも制作!躍進する山上木工を見学してきました!

2020年10月24日

北海道旅行では、津別に暮らす友人家族を訪ねることが一つの目的でした。10年前僕が高山で木工修行をしていた時に飛騨高山の家具メーカーに勤めていた彼と知り合い、彼が津別の木工所へ転職したあともそれからずっと変わらず連絡を取り合っている仲です。彼が転職した木工所については、高橋三太郎氏の椅子や秋岡芳夫や豊口克平などの家具を製作しているということは聞いていました。

ある日、「情報開示OKになったからこれ見て~」とLINEが来たのは、とあるニュース記事。それは、東京2020オリンピック・パラリンピックのメダルケースを彼が勤める会社が制作したという内容でした。また別の日には、「今度、イッテQ!にうちの会社でるんだわ」とLINEが。

なんだなんだ?すごいな?!
とびっくり!

今回、津別に行く計画をしていたら、山上木工の専務取締役 山上裕一朗さんがお時間をつくって会社案内を直々にしていただけることになりました。

山上木工はNC加工技術に長けた木工業界の先端企業

北海道 津別 山上木工 道東

山上木工は、北海道の中でも道東といわれる東のエリア、さらにオホーツク海に近い津別町という町にあります。津別町にはもともと林業・木材加工を産業としてあるなか、同社は1950年に裕一朗さんの祖父が創業したのが始まりです。長い間、町の木工所として下請け仕事をしてきましたが、ある時裕一朗さんの父である裕靖社長がNC工作機を時代に先駆けて導入しました。それ以降、山上木工はそれまでの職人技術に加え、NCなどの機械の技術を高めていくことになります。

しかし、下請けとしてのビジネス構造は変わりません。そこで2011年、高橋三太郎氏をデザイナーとして迎え、協働でオリジナルブランド「ISU-WORKS」を始めます。さらに、2014年、それまで大学で機械工学を学び、DMG森精機株式会社にて機械設計の仕事をしていた裕一朗さんが山上木工に入社します。

高い技術力をもつ山上木工をもっとPRしていかなければいけない、と「津別から世界へ」を合言葉に裕一朗さんはウェブサイトを一新し、SNSを活用するなど積極的に情報発信をしていきました。

2015年に「北海道チャレンジ企業」受賞、2016年に経済産業省「はばたく中小企業・小規模事業者300社」受賞、2017年には経済産業省「地域未来牽引企業」認定など対外的にその名を知られるようになっていきます。

北海道 津別 山上木工 道東

そして、東京2020オリンピック・パラリンピックのメダルケースを制作するプロジェクトを勝ち取り、世界規模のイベントに山上木工という名を刻むまでになりました。

北海道 津別 山上木工 道東 オリンピック パラリンピック メダル ケース

北海道の小さな町の、従業員22名の木工会社としては、まさにシンデレラストーリーのように映ります。

しかし、父である裕靖社長が率先して導入してきたNCによる高精度な加工技術と裕一朗さんの工作機器メーカーで培った機械における最新のノウハウというものが合わさり、さらには裕一朗さん大きな野望と「津別から世界へ」の合言葉で社員一丸となって取り組んだチーム力、それらがベストな形でかみ合った結果なのだと感じました。

木材の3D・3次元加工の株式会社山上木工 | 5軸制御NCルーターによる3D加工の老舗 | 試作開発から量産品まで対応
ISU-WORKS(イスワークス) | 木工家のクラフトマインドと小さな町の木工所の機械力・職人力との協働プロジェクト。知恵と技術力によって、使い手が手に取りやすい価格で、より美しい椅子づくりを目指します。

山上木工の武器 9台のNC加工機

これまで述べてきた通り、山上木工の一番の強みはNCによる精度の高い加工技術にあります。汎用機も合わせると100台にもなる機械があり、さらにその1割がNC加工機。

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中には、2mx6mのものを加工できる大型のNCもありました。

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最新のものは5軸のNCも導入し、裕一朗さん自ら操作します。逆にまだ他の社員では扱えないのだそう。しかし、荒材からパネル操作一つで仕口加工も含む工程をこなし、椅子のパーツとして出来上がってくるのは、みていてまさに魔法のようです。

これらのNCによる加工によって、さまざまな複雑な案件をこなしてきており、山上木工の強みを感じずにはいられません。

裕一朗さんのさらなる挑戦:廃校を活用したTSKOOLと家具のサブスク

北海道 津別 山上木工 道東 TSKOOL

津別町は木のまちであり、木のものづくりのまちです。それを実感してもらえるリアルな場をつくろうと2018年にオープンしたのが「TSKOOL」(ツクール)という旧活汲小学校の廃校舎を活用した山上木工のショールーム。さらには、ここでワークショップを開催し、そして本格的な木工教室も開講できるようにするのが今後の目標だそうです。

オホーツク(OKHOTSK)、スクール(SCHOOL)、津別町(TSUBETSU)、そしてものづくりのつくる(TSUKURU)などを掛け合わせた「TSKOOL」。

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「津別から世界へ」を合言葉にした裕一朗さんの言葉の中には「誇り」や「自信」といったワードが多いのに気づきます。かつては衰退していく地方都市としてみえていたのが、今ではここを目指して遠方から人がやってくる、そういう場所があり、会社があり、まちになる。それが津別に住む人たちの「誇り」や「自信」になっていく。そのためのオリンピック・パラリンピックのメダルケースであり、TSKOOLであり、そのすべては地域の活性につながっていくのです。

オホーツク・津別町にある旧活汲小学校をリノベーションしたプロジェクト。オーダー木製家具や一枚板のテーブル、そして上質な小物雑貨を販売しています。

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もう一つ裕一朗さんのチャレンジを紹介させてください。
それは、The Goodsという新会社を設立し、家具のサブスク事業を始めたそうです。現在はオホーツクエリア限定でサービスを行っているそうですが、新しいビジネス形態を柔軟に取り入れ、チャレンジする姿にはとても感銘しました。

山上木工は今後も地方(オホーツク)を輝かせる

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山上木工はいまとても勢いがある木工会社であり、これからもその輝きを増していくでしょう。

重要なのは、それは今始まったことではなく、創業から70年の歴史があり、大きな変化としても直近10年の果敢なチャレンジがあります。まさにこれまでの実力と実績の積み重ねたものが、トップが掲げたビジョンによってさらに大きな躍進を生みました。そこでのチームをまとめる力なども裕一朗さんがもともと持っていたものなんでしょう。

そして地域の誇りを生むさまざまな取り組み。
実際、山上木工で働く友人は、山上木工で仕事をしていることをとても誇りに思っています。従業員がそう思える会社というのはその存在自体とても貴重なものです。

今後もぜひその動向を追っていきたい会社です。

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