手順を図解で徹底解説!これが基本の自動かんな盤の調整方法
木工に必ず必要となる機械がかんな盤です。特に手押しかんな盤、自動一面かんな盤はどんな工房でもないと仕事ができません。
そんな重要な機械であるもののその調整方法って意外と知られていない、というより教育機関でも教えていないのが実情です。調子が悪くなったら機械屋さんを呼んで、調整してもらうのでもいいのですが特に難しいことでもないので、特にさまざまなパーツの調整が絡み合う自動かんな盤について教科書に掲載されている方法をここでも記しておこうかと思います。
ちなみに、ここで紹介する方法は、雇用能力開発機構職業能力開発総合大学校能力開発研究センターが発行している「木工用機械」という職業訓練校などで教科書として使われている本に掲載されている方法です。あくまでも基本的な調整方法ですので、それぞれのかんな盤の癖などを把握してさらにいいセッティングを目指していってもらえればと思います。
またこの教科書にはほかの機械についても一通り網羅されているので持っていないという木工家の人は手に入れておくといいかと思います。
目次
各ローラー、パーツの名称と基本的な位置関係
ちなみに、僕の工房では飯田のSP-202を使っていますので、それをもとに説明を書きますが、多少違いはあれど、ほかのメーカーのものも基本的には同じようなものだと考えています。
まず常盤(テーブル)には前後に下部ローラーがあり、上部に手前から送り込みローラー、チップブレーカー、鉋銅、プレッシャーバー、送り出しローラーとなっています。
それぞれの位置は下のように調整します。下部ローラーは常盤から0.2mm~0.4mm出します。鉋銅の刃先が真下に来た時の位置とプレッシャーバーは同じ高さに設定し、送り込みローラー、チップブレーカー、送り出しローラーはそれよりもさらに0.2mm~0.4mm下げたところで固定します。
繰り返しますが、これらの数字はあくまでも基本です。機械に合わせて最適な設定を見つけてください。
必要な道具
調整するためには以下のものが必要です。
角材(30mm x 100mm x 1m)2本
スパナ
シックネスゲージ
この中でもシックネスゲージはなくてもできますが、正確にやるためには必須です。
1.下部ローラーの調整
まず下部ローラーの調整を行います。下部ローラーは常盤に対し0.2mm~0.4mm出した状態に調整します。
用意した角材が乗るように常盤を下げ、写真のように常盤の左右に置きます。
ローラーの出し入れを調整するノブなどで上下を調整してください。
乗せた角材が左右前後で同じ高さになるように調整しましょう。このぐらいの隙間で0.3mmほどです。
この写真は、シックネスゲージの0.2mmを使って調整しているところです。個人的にはこの隙間は0.1mm~0.2mmぐらいでいいかなぁと思ってます。
余談ですが、僕のSP-202は下部ローラーの出し入れを調整する部分がなぜかうまく動かなかったのですが、よくよく見たらナットの位置がおかしくてノブをいくら回しても動かないようになってました。。。なんじゃこりゃ。。(機械屋さんの仕業か。。)
またローラーの左右の出具合がまったくくるっていたので、常盤下のローラーを支えている部分を調整し、均等の高さに調整しなおしました。
↑ノブをいくら回してもローラーが動かなかった。。。
↑常盤の下のローラーを支えている部分(写真左の黒い棒が乗っかっている部分)を調整しました。
2.刃先を角材に触れる位置まで常盤をあげる
送り込みローラー、チップブレーカー、プレッシャーバー、送り出しローラーを刃先より上にあげておきます。各ボルトを締める方向へ回すと上がります。
そして、角材を常盤に乗せたまま、常盤をあげます。刃先が角材に軽く触れるところで常盤をセッティングします。鉋銅を手で前後に回しながら、常盤を手動で微調整し角材が少し動くあたりで止めます。
3.送り込みローラー、チップブレーカー、プレッシャーバー、送り出しローラーの調整
刃先より上にあげた状態で固定していた各パーツのボルトを緩め、すべてが角材に乗っている状態にします。(ボルトを緩めると、各パーツが下がり自重で角材に乗っかっている状態になります。)
↑これがローラーなどすべてが角材に乗っかっている状態。
そのなかでプレッシャーバーは刃先と同じ高さで固定しますので、角材に乗っている状態=刃先と同じ高さなのでその位置でボルトを固定します。
一方で送り込みローラー、チップブレーカー、送り出しローラーは刃先より0.2mm~0.4mm下げた位置で固定したいので、調整ボルトと本体の間にシックネスゲージなどで任意の厚みのものを挟んで固定します。
シックネスゲージを外せば、ボルトは浮いた状態になっています。すべてのボルトで同じ厚みで調整するようにしましょう。
この状態で、常盤を下げると、プレッシャーバー以外のローラー、チップブレーカー、送り出しローラーがガタッとボルトを浮いていた分だけ下に落ちます。
これで、調整ができました。
4.試し削りと微調整
では、さっそく試し削りをしましょう。
角材or板材(調整用定規とは別のもの)を用意して常盤の左右、真ん中で試し削りをしてみます。厚みが一定になっているか、削る途中で止まらないかなど確認しましょう。さらに削る木材の最初や最後でぼこぼこになったり、途中でポコッと削れたりしないか確認します。
問題があった場合それぞれにそれぞれの原因があります。ローラー部分やチップブレーカー、プレッシャーバーなどを見直してみましょう。
プレッシャーバーの調整は重要
各パーツの中でもプレッシャーバーの調整が一番大事だと思います。上では刃先と同じ高さに合わせるとなっていますが、経験上、刃先よりも0.1mm~0.2mmほど控えめ(あげておく)ほうがスムーズに削れます。
よくあるケースとその原因と対処法
・削り始めたと思ったら先に進まない⇒プレッシャーバーに当たっている(下がり過ぎている)
・最後がガタガタになる⇒プレッシャーバーが効いていない(上がり過ぎている)
・最初がガタガタになる⇒チップブレーカーが効いていない(上がり過ぎている)
ほかにもケースが多くあるので、一つ一つをここで解説できませんが、教科書には説明が書いてありますので、そちらを見てください。
というわけで、自動かんな盤の基本的な調整方法でした。
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