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ここ数年、非常に木工旋盤に盛り上がりを感じます。10年以上前は、定年退職後のおじ様たちの趣味だったのが、いまでは若い人たちも始めるようになり、少しずつ木工旋盤というものが広がりを見せているのをひしひしと感じています。各地のクラフトマーケットでは木の器を並べる作家さんがとても多くなってきていますよね。
そんな盛り上がりを見せる木工旋盤の世界ですが、一方で間違った情報も出回っています。特に、驚いたのが、「木工旋盤 おすすめ」とGoogleで検索して上位に出てくるサイトがかなり怪しい。ランキング形式で掲載していますが、ジャンルがばらばらなものを一緒くたに並べています。中には木工旋盤じゃないものもあります。明らかに木工旋盤を知らない人が紹介しているんです。
そういうこともあり、正しい情報が得られないためか、「100Vで使えるおススメの木工旋盤ってなに?」と聞かれることも非常に多くなりました。
その都度、あれこれ説明してきましたが、いい加減ちゃんとした情報を出さないとまずいなと感じ、以前は教育機関で木工旋盤を教え、現在岐阜で木工旋盤教室を運営している僕が正しい木工旋盤の情報とおすすめ機種をご紹介します!
そもそも木工旋盤とは?
旋盤というのは、加工材料を旋回させ、そこに刃物をあてることで円形のものを削り出す機械のことです。
そして木工旋盤というのは、その字のごとく、木に特化した旋盤機械のことをいいます。日本には、従来「木工ろくろ」というものもありますが、ここでいう木工旋盤がさすものはどちらかというと海外で発展してきた「ウッドターニング」のことです。
「木工ろくろ」はまさに職人さんの世界。量産に適した技術体系でもあり、木のお椀などの産地が全国に数か所あり、大量の食器類を生産しています。技術習得は難しく、また刃物も鍛冶仕事をして自身で作りますし、ある程度の習得期間が必要です。産地には職人養成所もあります。
一方で、「ウッドターニング」は、一般の素人でも始めやすい技術体系となっており、それゆえ海外(ヨーロッパやアメリカ)では趣味でウッドターニングを楽しむ人が多くいます。また新しい道具や機械が次々に開発され、よりバラエティに富んだ作品作りが可能になったり、より簡単に始められるようになったりと、まさに日進月歩の世界です。
20~30年ほど前にこの「ウッドターニング」が日本で紹介され始め、「木工旋盤」としてじわじわと広まってきたのが今なんですね。
木工旋盤で作れるもの
では、木工旋盤でなにができるのか。それは、お椀やお皿などの食器やお花などを飾る花器、そして丸脚のイスなどのパーツです。他にも抽斗の取っ手やちょっとしたアクセサリーや小物など。円形、円柱のものであれば木工旋盤で削り出すことができます。
木工旋盤の専門メディア「ターニング トーク」を作りました!
そんなじわじわと広まっている木工旋盤ですが、日本で木工旋盤を紹介する専門メディア(ウェブサイト)がありませんでした。ですので、作りました!この記事を読んでいただくのももちろんいいですが、ぜひ専門メディア「ターニング トーク」をチェックしてみてください。初心者にとって必要な情報から、道具や技術上達に参考になる情報、海外の最新情報などを紹介していきます。
木工旋盤をはじめるには
では、そんな木工旋盤を始めるにはどうしたらよいのか。大きく分けて2通りの始め方があります。一つは独学で学ぶ。もう一つは教室に通う。
これは、楽器などの分野と同じです。ピアノやギターを独学で始める人は、本を読んだり、Youtubeを見たりして時間をかけて学んでいきます。一方で、教室があれば、そこに通うことでより効率的に学ぶことができます。その場合は、要点を抑えて習得することができ、短期間である程度のレベルまで行くことができます。
一人でこつこつと学ぶことが向いていたら独学で。効率的に技術習得をしたければ教室へ。それはほかの趣味と変わりません。自分がピアノやギターなど始めたらどっちがいいかなと、考えてみるといいですね。
国内初の初心者向け木工旋盤の本、『木工旋盤の教科書』を出版しました!
このブログのオーナーであり、会員制木工シェア工房ツバキラボである僕がついに「木工旋盤の教科書」というタイトルで初心者向けのガイドブックを出版しました。
僕が運営する木工旋盤ショップ 「ツバキラボツールズ」でも扱っています!
この本の魅力を著者自らまとめたので、こちらの記事もぜひ読んでみてください。
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国内初の初心者向け木工旋盤の本格ガイドブック「木工旋盤の教科書」を刊行しました!
目次1 悲願だった木工旋盤の本の出版2 初心者にとって大事なことに特化2.1 専門用語を極力避ける2.2 刃物の動かし方 ...
他にも参考となる本をご紹介
埼玉県で木工旋盤教室を長年運営している川口康さんが自費出版で日本語のテキスト「A Book About Woodturning」を自費出版されています。非常に丁寧に、かつ幅広くカバーされているので、1冊1万円と高価ですが、1冊持っておくことをおすすめします。ただし、幅広くカバーされている一方で、情報として深い部分もあり、上級者向けの情報もあるので、まったくの初心者が読んですぐに理解できるものでもないことも理解しておくべきです。(川口さんは、2022年4月に亡くなられました。そのため、こちらで紹介している書籍は自費出版であったこともあり、現在入手できない状況です)
また、個人的におすすめなのが、Richard Raffanさんの「Turning Wood」です。英語が苦手でもイラストだけでも得るものは多いと思います。世界中で読まれている初心者向けの木工旋盤のテキスト的存在の本です。
習える教室は近くにある?
それでは、教室はどこにあるのかというと、これもとても少ないのが現実です。
しっかり教室として運営されていて、おすすめのところは以下になります。
ここをチェック
東海:ツバキラボ (http://tsubakilab.jp/)⇐僕が運営する教室
関西:NAKAJIMA WOODTURNING STUDIO (https://www.nakajimawoodturningstudio.com/)
*埼玉で長年教室をされていた川口さんが2022年4月にお亡くなりになられ、教室も閉じられました。
ここであげたところは本業として教室を運営されており、体系立てて教えてくれますので、しっかり学びたい人はこれらの教室に行った方がいいです。他にも小さなところは調べればちょこちょこと出てきますが、片手間で教室をやっていたりするところも多く、技術を体系立てて教えてくれるところはなかなかないので、見極めが必要です。
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大阪で木工旋盤といえば!NAKAJIMA WOODTURNING STUDIOで1泊2日で木工旋盤のマンツーマンレッスンを受けてきました。
目次1 西日本では初の本格木工旋盤教室2 1泊2日のマンツーマンレッスンを申し込みました3 ハイエンド機種が並ぶ夢の木工 ...
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それでは、次のページでは、木工旋盤を買いたい!という方のために、木工旋盤の購入について解説していきます。