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台湾視察レポート 1:「ライフスタイルを売るとはどういうことか」を考える。カフェの掛け算と台湾人が望むゆとり。

2018年9月3日

誠品生活 松菸店 誠品書店 台湾 台北

先日、ある商業施設のプロジェクトの一環で台湾へ視察に行ってきました。初めての台湾だったため非常に楽しみしていたものの、事前にいろいろと調べることもできず、今回の視察ツアーに身をゆだねる形で参加。それでも台湾のトレンドを理解しやすい視察先を効率的に見て回ることができました。

その中で感じたことをまとめておこうかと思います。

蔦屋書店のモデルとなった誠品生活 松菸店

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台湾の消費トレンド調査であれば間違いなく誰もが行くといわれる場所が誠品生活というショッピングセンター。その中でも松菸店は、物販・飲食の枠を超え、誠品書店という本屋を軸に徹底的に各ジャンルを融合し、さらに体験コーナーや映画館、ミュージアム、そして今スポーツアリーナを建設中ということで、このエリアで様々なライフスタイルの先端に触れることができる施設になっています。

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この誠品生活 松菸店に入るテナントはどれもレベルが高く、デザイナーものから、生活雑貨ものまで、どれも楽しむことができます。マルシェなイベントもレベルが高い作品が並び、接客もしっかりしています。

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この施設が代官山の蔦屋書店のモデルになったのは有名な話です。

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誠品生活 松菸店が入るエリアは、かつてはたばこ工場だった松山文創園区。その敷地内にある建物をうまく利用して、クリエイティブスペースや図書館、ミュージアム、デザイナーの発信拠点、展示会会場などに活用しています。あらゆるトレンドの情報発信拠点として位置づけられるのも納得できます。

誠品生活 松菸店 誠品書店 台湾 台北

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「ライフスタイルを売る」という文句は近年よく聞きますが、いまいちピンとこないところがあります。ライフスタイルショップといっても、あくまでも物販のお店だということをおのずと感じてしまうからです。しかしこの誠品生活松菸店、ないしは松山文化園区にいくと、あぁ、こういうことなんだなというのが理解できます。それは、最新のトレンドに触れ、アートに触れ、さまざまなアーティストの作品に触れ、その中で、物を買い、自身の暮らしをよりよくしていく。そういうプロセスがすべて一つのエリア内で完結できるからです。

個人的にはこのエリアを1日かけて回ってみたかったのですが、ツアーの日程的に半日しかなかったのが非常に残念でした。

あらゆる業態にカフェがプラスされるわけ

誠品生活 松菸店 誠品書店 台湾 台北

台湾の本屋に行くと、カフェが併設されていることが多いことに気づきます。そして、それが本屋だけでなく、文具店だったり、ブティックだったり、小さな個人店でも店内にカフェがあることが、個人的には非常に面白く思えました。

台湾 台北 富錦街

富錦街は台北でも古くからある高級住宅街。現在そのエリアにオシャレなお店が増えてきているということで、町を歩くことになりました。

こだわりのお店がいくつかあり、そしてサードウェーブ系のコーヒー店もちらほら。さらにそれぞれのショップにカフェであったり、カフェでなくてもゆったりできるソファがあったり。

この点について、友人であるFabcafe Taipeiのマネージャーであるティムに聞いてみると、台湾人は今ゆとりを求めているんだよ、と言っていました。そしてそれは逆に、何をしていても、どんなショップで買い物をしていても、ちょっとコーヒーを飲むゆとりがあることをアピールしたい人が多いのかもしれない、ともいっていたのが印象的です。




洗練されたデザインと庶民のギャップ?

台湾 台北 朝市

さて、そんなオシャレで洗練された台湾を見た一方で、朝市や夜市などにも足を運びました。そこには日本でももう見られない庶民の暮らしがありました。下の写真のようにこんなかたちで卵を買うことは日本ではないですよね。

台湾 台北 朝市

肉や魚など新鮮な食材が市場にはあふれており、そしてそれらは安いわけです。そういった食材がまた個人商店や食堂に買われ、安い外食産業が成り立ちます。多くの人たちはまだ市場で食材を買ったり、安い食堂などで食事をします。

台湾 台北 青島豆漿店

台湾 台北 青島豆漿店

洗練されたショップに行き買い物をするのも、市場で買い物するのも、そのどちらもリアルな台湾。

人口2300万人の台湾人の平均年収は200万弱。月収にして13万円(台北市15万円)ほどと言われています。

日本に比べたら給与水準はかなり差があります。それでもショッピングモールには人が集まり、ここで紹介した洗練された場所で買い物する人も多いわけです。

つまり、給与水準が低くても、日々の生活にかかる費用も安く抑えられているのではないかと、考えられます。もちろん、格差もあるでしょうが、実際街を歩いてみた印象としては、台湾裕福だなぁと。

そんな中で、台湾の人々のより裕福になりたい、よりゆとりを持ちたいという思いが、誠品書店のような形態を生み出し、受け入れられ、ほかの業態にも広がり、支持されているのではないでしょうか。

台湾 Carpenter 木工 おもちゃ 木のおもちゃ
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