台湾へ消費トレンド調査として視察に行ったわけですが、やはり木工を生業としている者として、また一般の方々にものづくりの場を提供している者として、気になるのが木がどれくらい必要とされ、そして広がっているのか、またはどれくらいDIYであったり、ものづくりのスペースがあるのか、という点です。
日本では「体験」の価値を可視化していくことが近年多方面で取り組まれていますが、そういった実際に体験することの価値が受け入れられているのか。そのようなところが気になるわけです。
ちなみに、レポート第1弾はこれ↓ 目次 先日、ある商業施設のプロジェクトの一環で台湾へ視察に行ってきました。初めての台湾だったため非常に楽しみしていたものの、事 ...
台湾視察レポート 1:「ライフスタイルを売るとはどういうことか」を考える。カフェの掛け算と台湾人が望むゆとり。
世界は、そしてもれなく台湾も、素材として「木」を求めている。
日本でものづくりにかかわる者として感じるのは、近年の良いものには「素材感がある」ということ。そして、その一つとして「木」は人間にとって古代から常に人の生活を支えてきた相棒でもあり、化石燃料由来の素材やデジタル機器に囲まれる暮らしの中では、「木」が持つ何とも言えない無条件に受け入れることができる優しさを人は無意識に感じ取っています。
これは木が大好きな日本に限らず、海外の様々な情報に触れる中で、世界中で見られる現象だと感じています。多くの国々で自然回帰的なムーブメントが起きているのです。
台湾はそれに外れることなく、まさしく素材としての「木」を求めている国だと、今回の視察を通して感じました。
台湾のデザインを見ていると、
デザインのアクセントとして木を使うこともあり、
ほかの素材との組み合わせだったり、
木がメインのアイコンだったり、
木であることがブランド価値であったり、
様々なものに木がデザインとして取り入れられています。
そして、「職人」や「手仕事」といったものに価値を感じるのは日本と一緒ですね。
このあたりは、やはり世界的な潮流だと感じています。
似たようなこととして、過去にはこんな記事も書いていました↓ 今回で2回目の開催となる「Smart Craft Studio 2017」が岐阜の飛騨古川にあるFabCafe Hida ...
AI、IoTと木工の融合!ヒダクマで開催中の「Smart Craft Studio in Hida 2017」に木工の講師として参加してきました。
DIYはまだまだ広がる
前回のレポートでも紹介した誠品生活 松菸店の雑貨売り場には、DIYのスペースが充実しているように思えました。
僕が今回気に入っていくつか購入したCarpenterというブランドの木のおもちゃはDIYキットになっており、その店内で作れるようになっていました。
ほかにも、このフロアには、ガラス工房がガラス越しに見える仕掛けがあったり、
(写真NGだったけど)カウンター越しに職人さんの手仕事が見えるようになっていたり、素材から選べる彫金のDIY工房があったり、ありとあらゆるDIYや手仕事に触れる機会がちりばめられています。
また誠品生活 松菸店だけでなく、松山文創園区のほかの場所でもDIYスペースはありました。
そして、松山文創園区と同じく、情報発信地である華山1914文創園区でもショップ内にDIYコーナーがあるお店がありました。この華山1914文創園区で最も成功したブランドとFabcafe Taipeiのマネージャー ティムが紹介してくれたWooderful Life。
そのお店の入り口は、まずWooderful Lifeのおもちゃで遊べるスペースとなっており、
そして、その奥に商品がずらりと並びます。
Woodferful Lifeはこの小さな小さな木のお人形の世界から始まった玩具ブランドだそうです。くるくる回ってとてもかわいい感じです。
ウェブサイトを見てみると、まず最初に「幸福的木作用」という言葉が目につきます。木がどれだけ幸せにしてくれるか、どれだけ暮らしの中に潤いをもたらしてくれるかを人々に訴えているブランドです。
そのお店の奥には、かなりの面積をとってDIYスペースを設けています。
好きな人形、家、車などを選び、それをステージに配置し、くるくる回るように仕掛けをつくりながら、自分だけの世界を作れるDIYコーナー。行ったときはすでに終わってしまっていましたが、これは結構気になります。
FabLabのようなシェア工房は転換期?!
一方で、Fabcafe Taipei マネージャー ティムに、デジタルファブリケーションなどのシェア工房は一時期かなり増えたけど、今は数が少なくなってきた、ということを教えてもらいました。FabCafeはそもそもカフェがメインで、Fabもあるという形態のため、多くの人が訪れる場所となっていますが、単純なFabのシェア工房は苦戦しているようです。
まだまだFabは市民権を得られていないということでしょうか?
今回の視察では、一般消費者向けのDIYサービスは台湾の中でいくつか見られました。それがどれだけ消費者のニーズに応えたものなのか、今回の視察ではわかりません。それでも、このようなサービスがオシャレな情報発信地に多く見られたことは一つのトレンドを表すものだと感じました。
そして、素材として「木」は台湾でも人気があり、プロダクトとして、空間としてあらゆるところで見ることができました。
そのあたり、今の台湾を見ることができてひとまずよかったと思っています。そこからじゃあどのようなアクションが起こせるか、考えていきたいと思います。
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台湾視察レポート 1:「ライフスタイルを売るとはどういうことか」を考える。カフェの掛け算と台湾人が望むゆとり。
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