みなさん、こんにちは。
仕事では、会員制木工シェア工房「ツバキラボ」を7月にオープンし、この夏は非常に忙しくさせていただきました。
このツバキラボにはサロンスペースがあり、会員様の休憩スペースとして活用していただいています。↓ (まだテーブルがないのが寂しいですね)
いろいろ椅子があるのですが、その中の一つにマルニ木工のアームチェアがあります。(上の写真で右に写っているもの)。知人の家具修理の専門家に調べてもらったら、70年代に発売されたNo2042 (愛称:カトレア)というもので大変希少なモデルだそうです。(マルニ木工に直接問い合わせてくれました。ありがとうございます!)
ヤフオクで購入したのですが、ネット上で見る限りとても状態のいいものでした。説明にも状態が良いと書いてあるし。しかし、届いてみたらなんと幕板(脚と脚をつなぐ部材)などの接合部が抜けていて、グラグラだったんですね。椅子としては機能しない。。。完全に「やられた!」と思いました。世の中には本当にあくどい業者がいるもんですね。
ということで、ひと夏その状態で飾りとしてサロンにおいていましたが、いい加減座れるようにしなきゃと思い、リペアを行いました。
リペア前の写真がないのでどんな状態だったかお見せできないのが残念です。
いざりペア
まずは分解
まずは、パーツごとに分解していきます。
修理が必要なくらいの古いものは、接着剤も劣化しているので、丁寧に慎重にたたけば接合部が少しずつ外れます。やはりダボで組んでありますね。大手の量産ものはこのようにダボ組のものが多いです。
過去の修復の跡?
そして外れた接合部を見てみると劣化した接着剤がカチコチになっていました。結構分厚く残っているので、たぶん緩んで抜けていたところに、当時の所有者かリペア業者が接着剤を隙間に流し込んでいたんじゃないかなぁと思われます。
しかも残念だったのは、ただ隙間を埋めるためにパテで埋めて、表面を茶色に着色してあった部分です(写真の白い部分がパテ)。こういうの見るとすごく残念に思います。椅子は人の体を支えるもので相当な力が各部材、そして接合部にかかります。しっかり接合部ががちっとかみ合っていないとその力を受けれません。隙間をパテで埋めても問題を見えなくしているだけなんで、緩んだ接合部の解決にはなっていません。
組み合わさる部分をきれいに
外れたパーツは、部材が組み合わさる部分に残っている接着剤をきれいに落とします。切り出し小刀や鑿などで表面の接着剤を削り落として木部を出していくんですね。接着剤が残ったまま再びくっつけても意味がありません。
そしてきれいになった接合部の木部表面に傷をつけていきます。これは、新しく塗布する接着剤がよりくっつきやすくするためです。ダボは新品に変えるといいのですが、手持ちがなかったので、同じように傷をたくさんつけ接着剤が浸透しやすくしました。
再度、組み上げる
すべての接合部をきれいにしたら、再び元の形に戻します。
その時、どのパーツからどのように組み上げて、どのようにクランプをかけるべきか何度もシミュレーションします。(上の写真はシミュレーションの時のもの。本番は当て木などして直接クランプが当たってキズとかにならないようにします)
接着剤はエポキシを使いました。
そして完成
というわけで、3か月ほど放置していた壊れたアームチェアが治りました。
緩んでいた接合部すべてしっかりきれいに接着できました。
よかったよかった。