子育て 生き方

トニー・ワグナーの「未来のイノベーターはどう育つのか」には、子育ての極意が惜しみなく紹介されていました。

2014年12月20日

未来のイノベーターはどう育つのか

今年はずっと子育てに関して「生きる力」と「創造性」というキーワードでさまざまな本を読んできました。先日紹介した天外伺朗さんの”「生きる力」の強い子を育てる”という本はまさに求めていたものであり、すごく勉強させられる1冊でした。

そして、もう1冊ぜひとも紹介したい本があります。それは、トニー・ワグナーさんの「未来のイノベーターはどう育つのか~子どもの可能性をのばすもの・つぶすもの~」です。はっきり言って天外伺朗さんの”「生きる力」の強い子を育てる”とこの「未来のイノベーターはどう育つのか~子どもの可能性をのばすもの・つぶすもの~」だけで十分であり、それ以外の子育て書は要らないといってもいいです。それくらい、親として、これからの時代をつくっていく人を教育する立場の人間としてとても大事なことが書かれていました。

トニー・ワグナーさんはハーバード大学テクノロジー起業センター初代フェローであり、ハーバード教育大学院チェンジ・リーダーシップ・グループ創設者・元共同ディレクターという経歴を持ち、これまで多くのイノベーション、そしてイノベーターを見てこられた方です。

そして、今回のこの本は、現在の若きイノベーターたちはどのような共通スキルをもっているのか、そして彼らはどのように育てられたのかを、その親や学校の先生などに徹底的にインタビューしてその共通点を洗い出したものです。

それは、お金持ちの英才教育ではなく、理系でも、文系でも、裕福でも、貧しい家庭でも、そういったものに関係ない純粋な親と子の関係、接し方、学校の制度や先生の指導方法に焦点をあて、何が一人の人間を社会にインパクトを与えられる人間に変えたのか、ということを数多くの事例とともに紹介している本です。もちろん、アメリカを舞台とした話ですが、子育ては万国共通であり、よりグローバルな未来を思えば十分読むに値するものです。

そもそもイノベーションとは何で、なぜ必要か

未来のイノベーターはどう育つのか

自分で作った車を前後に走らせ、と同時に口では「吹き戻し」でぴろろ~と遊ぶうちの息子もなかなかクリエイティブだなと思うのですが、そんな話はさておき、、、、

現在アメリカでは、成人の就業率は58.2%であり、16歳から28歳の就業率は55.3%と第2次世界大戦後最悪の水準となっているそうです。アウトソーシング化や機械化で仕事が奪われ、中間層が消失し、所得格差はどんどん開く一方です。貧困層も総人口の15%と最悪の水準になっています。

いま緊急に必要とされているのは、21世紀の経済を引っ張る新しい成長のエンジンだ。そして地球を汚さずに十分な雇用を生み出す、現実的で持続可能な経済を作らなければいけない。そのために必要なのがイノベーションだ。(P14)

ではそのイノベーションとは何か。トニー・ワグナーさんは自身の言葉でその定義はしていませんが、その代わり数多くの経営者や著名人の言葉を紹介しています。イノベーションとは斬新的と破壊的の2つのものがあり、既存の商品・プロセス、サービスを大幅に改善したものが斬新的、既存の市場を破壊し、これまでの技術をお払い箱にするのが破壊的イノベーションといわれています。またそれは「もの」だけではなく、社会的イノベーションも若い層では関心が高まっているとしています。イノベーションとは「創造性」でもあります

これらの話は第1章の「イノベーション入門」で解説してありますが、ほかにもイノベーターの共通スキル、それらがどのように育まれるかが書いてあり、ものすごく勉強になります。中でもハーバード大学経営大学院のアマービル教授の創造性に関する研究論文の紹介として、イノベーション(創造性)はクリエーティブな思考、専門性、そしてモチベーションの3つがあってはじめて生まれるものであり、その中でモチベーションが一番重要だということを述べています。

内的モチベーションと「遊び」⇒「情熱」⇒「目的意識」というステップ:親として子どもにどう接するべきかの指針

未来のイノベーターはどう育つのか

創造性を生み出す要素としてモチベーションが最も重要ということですが、それには外的モチベーションと内的モチベーションがあるそうです。外的モチベーションとは、テストで100点取ったら〇〇買ってあげるね、という誘惑や、今すぐ勉強しないとご飯ないよといった脅迫のように外的要因のモチベーションであり、これらは創造性にはまったくつながらないとしています。

重要なのは、内的モチベーションであり、そしてそれは「遊び」⇒「情熱」⇒「目的意識」というステップを踏んで明確な生きるビジョンになっていくもののようです。そして、本書では、その「遊び」⇒「情熱」⇒「目的意識」という発展過程に何が影響しているのか、また周りの大人(親や教師など)はどうその発展を促してきたのかにより焦点を当てて、イノベーターというものに迫っています。

天外さんの”「生きる力」の強い子を育てる”に書かれていてすべての親がその重要さを知るべきだと紹介した「フロー」ですが、天外さんはとにかく目一杯「遊ぶ」ことが重要なんだと説いていました。そして今回の本では、その「遊び」がどのように発展し、そして大人たちはどのように接するべきかを解説していあるという点で、2つの本は非常に主旨として似ており、両方読んで初めてその中身をお互いに補完できるのではないかと感じました。

驚くべきは、イノベーターの親には共通した考えがあること

数多くのイノベーターたちが紹介されている本書ですが、一番の醍醐味は何度も書いてますが、親や教師がどうその成長を促してきたかということ。そして多くの事例を見て本当にびっくりするのが、その親たち、そして教師たちに共通の考えや手法があったことです。

理系イノベーター、社会イノベーターなど結果的に社会にインパクトを与える商品や仕組みを生み出すというスキルを持つ彼らですが、その育ってきた環境はバラバラ。裕福な家庭もあれば、貧しい家庭もある。国も違えば人種も違う。そんな彼らでも平等にイノベーターとして本書に紹介されています。そこがとても興味深いと思うのです。

書き出すと長くなるので、ぜひその内容は本を手に取って読んでほしいのですが、中には、具体的な手法も多く紹介してあります。それぞれの親たちが何を考え、どう子供と接してきたのか、それをヒントに自分の子育てをエンジョイしていきたいと思うのでした。

天外伺朗さんの”「生きる力」の強い子を育てる”には子育て中のすべての親が理解すべき2つのことが書かれていました。

僕は、子育て真っ只中であることや現在学校に勤めていること、そして木育などにかかわっていることからこれからの時代を生きてい ...

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