生き方

ぼくら30代の必読書、落合陽一 「日本再興戦略」が”最高”なエールなんです。

2018年2月13日

落合陽一 日本再興戦略 レビュー 魔法使い

こんにちは。

ここんとこ世の中でプレゼンスが異様に高まっている落合陽一氏の最新書籍「日本再興戦略」が発売されて約2週間。予約注文していたので発売日にピピっとKindleに配信されていたんですが、これを読んで、ずーっと頭のなかが「落合陽一」になっているわけです。

普段ならいい本に出合うとその勢いでレビューを書いてしまうんですが、今回は、その読書レビューがなかなかかけずにいました。いや、いい本じゃなかったっていうことではなく、はっきり言って、どうレビューをまとめたらいいのかわからない。

いや、正確には、

ほんとに大事なことをまとめたのが「日本再興戦略」の中身なんだから、それ以上まとめようがないっていうところです。

それでもやっぱりたくさんの人にこの本を薦めたいので、レビューします。

世界の第一線で活躍する若き日本人が見ている未来を知っておきましょう

落合陽一って、ちょっと髪ながくて、個性的なファッションしてて、しゃべるとき斜め向いてて、早口で、現代の魔法使いって呼ばれてて、たまにTVにも出てて、、、ってよくわかんないっていう印象だったんですが、いろいろと彼の発言内容や活動内容を追えば追うほどすごいなこの人って感じてました。

とくにNewsPicksのWeekly Ochiaiのコーナーは個人的にツボで、これ見たいがために有料会員になってるくらいです。

で、話それましたが、まず何が言いたいかっていうと、彼が述べていることすべてがすべて未来にそのまま実現するかどうかはわかりませんが、今、経営者として、研究者として、教育者として、メディアアーティストとして世界の第一線で活躍する若き日本人が見る日本の未来とその道しるべを知っておく必要があるってことです。

特に、30代!

今30代の人たちってこれから社会を担う大きな役割をする世代であって、かつ子育てバリバリ世代でもあります。でも(40代も含め)、僕らの世代って上の世代とのギャップや矛盾を常に抱えてきたけど、これからの変化はのんきなことも言ってられなくなる(特に地方)。

つまり、僕らのような30代がこれからの世の中どうなっていくかをある程度知識を入れておかないと、自分たちの子どもたちをよりよい方向へ導いてあげられなくなってしまいます。

まずは騙されたと思って読んでみてください。

そもそもの固定観念をぶち破る破壊力

今まで当たり前だったものが、大きく変わる。

今でこそ資本主義が終わるとか、世の中の仕組みが変わるとか多いですけど、少し前までは、世の中はこうなるといった論調のさまざまな経済書などを読んでいても、基本的に資本主義が前提、民主主義が前提、明治維新後の仕組み、戦後の仕組みが前提とした内容がほとんどでした。

僕は、リーマンショックが起き、そして2009年にトヨタを辞めたときからなんとなく資本主義に懐疑的になっていて、それから日本では東日本大震災が起き、そのころ原丈人の「増補 21世紀の国富論」やクリスアンダーソン氏の「MAKERS 21世紀の産業革命が始まる」やMIT ニールガーシェンフェルド氏の「Fab ―パーソナルコンピュータからパーソナルファブリケーションへ」を読んだ際に、初めて「資本主義」が世の中の絶対的な仕組みではないことに気づかされました。これって自分にとってはすごく大事な気づきでした。

”そもそも”の出発点が深い

そして今回の「日本再興戦略」で、これまでの様々な前提や固定観念をすっとばして、”そもそも”論で日本を語る落合氏の幅広い知識と深い考えに改めて恐れ入った次第なのです。

そう、そこがまず違うんですよね。

明治維新だって、たかだか150年前。そんでもって、この本の話が、「出雲政府と大和朝廷の勢力争い」までさかのぼってるんですよ。

日本の古代を語る上でのポイントは、出雲政府と大和朝廷の勢力争いです。(位置: 972)

ここで大和朝廷が日本を統治することで、日本の統治構造の基礎ができたと。確かに、ほかの本とかでもこの出雲のさまざまな神話的思想と天皇を中心とした国家思想って歴史の中でところどころで影響を与えているってありますからね。

資本主義は必然性があってその仕組みが産業革命以降世界を支配していますが、今あたらしいテクノロジーがそこを超越してきたことによって新たな枠組みが生まれようとしているわけです。だから今じわじわと浸透してきているブロックチェーンやAR/VRやAI、自動運転など新しいテクノロジーを知っておくことってすごく大切なんですね。

他にも、江戸時代の「士農工商」は合理的で日本人に適していたってことや、それに付随して、カーストの階級制度があるインドは文化的にも非常に近く仲よくすべしってことや、百姓こそがクリエイティブでこれからの時代の生き方だってことなど、そもそも論で見ていくと、納得できるところが多くあります。

高齢化社会、少子化社会が日本を救う

さて、日本は高齢化だ、少子化だってすごく騒いでますが、これは日本の危機ではなく、チャンスだと述べています。

高齢化に伴うビジネスは海外に輸出できるし、少子化だから子どもの数が少なくなる分一人当たりの教育費が増える、そして労働人口減でAIやロボット技術が他国に先駆けて急速に普及し、それも海外へ輸出できる。

だから日本にとってチャンスだと。

世の中、高齢化、少子化となるといかに現状を維持するために何をすべきか、といった議論が多いのですが、僕は、日本の人口って6000万~8000万ぐらいがちょうどいいんじゃないのかなって前から思ってました。大正~昭和初期ぐらいの人口です。西洋と東洋が入り混じって多様な文化が生まれた時代です。これからは東洋思想をインストールしなさいという落合氏も6000万ぐらいまで減ってもいいと言っています。機械化によって一人当たりの生産性が上がれば人が減っても大丈夫だそうです。

単純に考えて、人が減ればその分余裕が生まれますよね。ロボット技術などで生産性も上がれば、余る時間でよりクリエイティブな活動ができるってわけですね。なるほどなるほど。

トークンエコノミーと地方が輝く時代

落合氏が断言する未来の一つに「これからはローカル」だっていうのがあります。

そもそも日本の成り立ちからすると、中央集権的なものはそぐわないそうです。明治維新によって中央に政府ができ初めて「日本」という国としての考え方が庶民まで広がったそうですが、それまでお殿様といえば、各地域にいる大名だったわけです。それぞれがそれぞれの統治の仕方で暮らしが成り立ち、経済が回っていました。

近代化するために中央政府ができて、国民の底上げで均一な教育が国全土で行われ、それによって日本の国力はぐんと上がりました。戦後もこの仕組みによって高度経済成長が成し遂げられ、世界有数の大国になったのですが、グローバルで国・文化の境がなくなるうえに多様化していく社会では逆にこれが足かせになりました。

確かに考えてみると、「日本」という国の成り立ちを理解せぬまま、グローバルだと騒いで、日本はこうあるべき、こう進むべきっていう議論が多いかもしれません。そもそも僕たちは「日本」という意識はマスメディアの力で概念的なイメージがありますが、歴史を習っても年号と出来事を覚えるだけで、それが今の自分たちに社会の仕組みや思想的にどう影響しているのか、習ったことがありません。これはアメリカの大学で歴史をやったときに教えかたが違うなぁと実感したことがあります。

僕らは日本というとらえ方に向いていない、自分の住んでいる町や都道府県単位でいかに周りをよくするかに注力した方がより力を発揮できるかもしれませんね。

そして落合氏が奨める仮想通貨などのトークンエコノミー。これは自治体でも仮想通貨を発行し、そこで独自の経済圏を作り出し、さらにそれをもとにICO(株式でいう上場)してさらにお金を集めて独自の施策につかってよりオリジナリティをとがらせていくってことも可能な世の中です。非中央政権的な地方の統治と経済が実現できるテクノロジーがそろいつつあるってことに気づかされたのはこの本による大きな収穫です。

教育改革とメディアのマインドセットの解除

ということで、日本の教育改革とマスメディアによるマインドコントロールの呪縛からの脱却です。

落合氏も日本の小中学校のシステムはよくできていると評価していますが、高校は大学受験のための学校になってしまっているのはおかしいと言っています。

僕自身日本の受験戦争からは離れてましたし、センター試験を受けたことがなく、大学もアメリカだったので、わからないことは多いですが、日本の高校⇒大学の流れがよろしくない形で成り立っているというのは容易に想像できます。高校での講演も何度かあるし、進学校で「中途半端な大学なんて行かなくていい」って発言したら、そこで受けた質問も自分たちの価値観と社会の仕組みとの矛盾からくるものが多かったですし、以前勤めていた岐阜県立森林文化アカデミーでも高卒上がりの子たちの担任とかしてましたけど、彼らが持ってる多様な感性はすごいといつも思わされるけど、画一的な教育制度の中にはめこまれて、選択肢をものすごく狭められているなと実感しました。

大学も経営が大変だからとにかく学生集めに必死になるけど、そもそも高校上がって大学入ったところで、ほんとに実のある学びができる人ってなかなかいないと思います。大学はもっと高尚な教育機関であるべきだと思います。高校出たら社会出るなり、世界を見て回るなりして、世の中を知ってから大学行くと学ぶ意識も学べることも次元が違うくらい変わるはず。ある程度の学びだったらネットでできるし、それよりは自分の目で現実を見たほうがよっぽどいいです。

社会人の再教育

また、少子高齢化は日本にとってチャンスだという考えを紹介しましたが、逆に言うと、受身でいることはよくなくて、(特に地方では)攻めの意識でそういった技術を受け入れ、社会の変化に合わせていく人をもっともっと増やしていかないとこのチャンスをつかむことはできないんだろうとも思いました。そのためには、大人の再教育も非常に重要なところなんですね。社会人が新しいことを学びやすい仕組みって、今スマホとインターネットでほぼ実現できています。たとえば無料/有料のオンラインサロンもありますし、NewsPicksの有料会員になるだけでも全然違います。要は、お金払ってでも意識的に社会の変化を取り入れていけるかってことが重要なんだと思います。

計り知れないメディアのちから

今TVを見る人は減ってきているといわれていますが、それでもTVの影響力ってスゴイですよね。でも、ほんと低俗なものが多いのも事実。有名人の不倫だとか相撲協会の問題だとか、全然自分の暮らしに関係ないことなのに、やたらTVでやるから、あたかもそれが日本全体の問題みたいに感じてしまう人も多いんじゃないですか?正直どうでもいいですよね(笑) (あとCMも悪影響。)

落合氏が言うこの部分、ほんとその通りだと思いました。

何かを求めているけれども、それが足りないという状態は、実は依存症です。別に、自然でいればいいのに、メディアの定義した幸せを探す日々の中で、日本人はいつのまにか「幸せ依存症」になってしまったのです。(位置: 624)

マスメディアによる価値観の統一やトレンディードラマによる人生のサンプルの流布のせいで、日本人が目指す人生像がとても画一的な凝り固まったものになってしまいました。(位置: 1,154)

あらゆるものを消費者として受身で(マインドコントロールされて)いればよかった時代はもう終わりです。

ほかにも日本がこれから世界の中で輝くための提案がたんまり

って、レビューと称して書いてたら、めちゃ長くなったので、だれがこんなの読むんだ、と自省しバッサリ消しました(笑)

以下、自分のハイライトをざっと読み返してみて、引っかかる箇所を列挙します。

今の社会システムのあり方だったら、生産性が低いのは当たり前です。我々の教育は、人に言われたことをやるのに特化していて、新しいことを始めるのには特化していないから(位置148)

東洋的には、ずっと仕事の中にいながら生きている、そしてそれがストレスなく生活と一致しているのが美しい。(位置: 575)

教育を変えて日本人の意識を変え、地方自治を強化して、ローカルな問題を自分たちで解決できるようにすること。つまり、帰属意識と参加意識、自分の選択が意味を持っている実感を、それぞれの人々が感じ、相互に依存することから、日本再興は始まっていく(位置: 712)

これから重要になるのが、「百姓的な」生き方です。百の生業を成すことを目指したほうがいい(位置: 1136)

今の日本人は、お金を過度に気にするあまり、大きな自己矛盾を抱えています。今の日本が持っている「内なる拝金主義」は大きな問題です。ここから抜け出さない限り、士農工商などの「価値を中心としたパラダイム」には戻れません。(位置: 1,218)

日本の少子高齢化対策技術は、アジア諸国に輸出することができる(位置: 2,262)

トークンエコノミーが広がると、これから面白い開発が行われる自治体ほど、いいビジョンがある自治体ほど、お金が集まるのです。会社の株価と同じように、独自性のある、優れたビジョンと戦略と実行力がある自治体ほど株価が上がるのです。(位置: 2,470)

ワークとライフが無差別となり、すべての時間がワークかつライフとなります。「ワークアズライフ」となるのです。(位置: 3,006)

時代にとって合理性があること、つまり「するべきこと」と、時代にとっては合理性がないけれども、自分にとって文化的許容度があること、つまり「やりたいこと」の2つを分けないといけません。(位置: 3,234)

総じて、以下の点がよかったところと思ったところです。
・教育改革が必要(その具体的な中身が書いてある)
・マスメディアのマインドセットから目覚めるべき 幸せ依存症になってませんか?
・一つのことにとらわれず百姓になれ ひとつのことで突出して、その後横展開
・仕事とプライベートを分けるんじゃなくて、仕事が生き方ってこと ワークアズライフ
・中央集権からローカルの自立 これからは圧倒的にローカルの時代 独自経済圏をうみだせるか
・テクノロジー やばいほんとに未来がすぐそこです。

そしてこのツイートに集約されていく

で、落合陽一氏のこの有名なツイート。すべてはこの短い140字に集約されているわけです。

どうですか、読んでみませんか?日本再興戦略は最高のエールです。

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