生き方

自分を知り、自分を生きる。人生を迷っている人に読んでほしい本: 山本有三著「路傍の石」

2008年12月26日

山本有三の「路傍の石」という小説を知っていますか?

知っていますかと聞いておきながら私も先日知ったんですが、中国出張の時、たまたまホテルで見ていたNHKのドキュメント番組であるタクシードライバーが紹介されていました。

自分らしく精一杯に生きること

以前は会社の社長さんで羽振りがよかった時代もあったけれど、事業に失敗し豪邸からアパートの一室へ移り住む。なんとかタクシードライバーとして雇ってもらえたけど、過酷な労働条件は年寄りにはつらい。営業成績もいつも後をさまよう。自分の人生に迷いが出てきたとき、たまたま乗せた客は息子の友人。そのときは普通に接したのだけれど、後日その客から手紙が来た。

「大手の会社で営業マンとして働いているが、成績も上がらなく、このままやめようか迷っていた。そんなときおじさんのタクシーに乗り一度失敗した人生でもタクシードライバーとして再出発したおじさんの力強い生き様をみせられ自分やる気が出てきた」

と言った内容。

人様に見せれるような人生でもない。でも、自分らしく精一杯に働くことはできる。これを機に、このタクシードライバーは都内の交通網を研究。都内のイベントも押さえ、どの時間どこへ行けば客を効率よく拾えるか、すべての情報を調べ上げデータ化。独自の営業ツールに仕立て上げ、営業成績は常にトップを走ることになった。

「路傍の石」のメッセージ

ものすごい力強い話なんだけど、この中でこのタクシードライバーが迷っていたときに読んでいたのが、「路傍の石」でした。つい気になって読んでみました。

明治の時代、主人公吾一少年は、恵まれない家庭に育ち、若くして奉公にだされる。道ばたの石のようにけ飛ばされる日々を通し、世の中の厳しさ、社会の厳しさを学びながらも純粋さを失わず、精神的にも経済的にも自立していくストーリー。

時代は違えど、人の生きる様は変わらないと思います。その小説の中に、こんなことばがあります。

「人生は死ぬことじゃない。生きることだ。
これからのものは、なによりも生きなければならない。
自分自身を生かさなくってはいけない。
たった一人しかない自分を、
たった一度しかない人生を、
ほんとうに生かさなかったら、
人間、生まれてきたかいがないじゃないか。」

今、恐慌という言葉が使われるぐらい、不況に陥っていますが(この記事書いたのはリーマンショック真っ只中)、だからといって一緒になって騒いでいても意味がありません。こんな時だからこそできることをこつこつと積み上げていく努力を惜しまずに、吾一少年のようにやっていきたいと、この小説を読み終えて、思うのでした。

自分の人生を生きるとはどういうことなのか

ほとんどの人は、学校で人生については習わないと思います。そして人生について教えられる先生も多くないと思います。

それゆえに、学生時代に哲学にのめりこむ人も周りではいたし、社会人になってからも「学生時代哲学にはまった」という人に会ったりします。すべてがすべてではないですが、若い時(10代や20代前半)に人生とは何かを考えた人って、結構意味ある人生をそれぞれが送っているように感じます。

自分の人生を生きるとは、結局のところ、「その意味を知る」ことだと思います。

なんのために生きているんだろう、って誰もが一度ぐらいは自分自身に問うことがあったんじゃないかと思います。でも答えはなかなか自分の中から出てきません。出そうと思って出せるものじゃないからです。

では、「その意味を知る」とはどういうことか。

それは、「自分自身を知る」ことになります。自分自身こういう人間だよな、とわかることで初めて自分が生かされていることも認識できるんじゃないでしょうか。すると途端に人生の意味が湧いて出てきます。

そしてそれが「自分の人生を生きる」ということにつながります。誰かに合わせる生き方、誰かのために選ぶ選択肢。そうではなく、自分だからできる生き方、自分のために選ぶ選択肢

結局のところ、自分がどうこうしようが、他から見れば他人のことなんですよね。狭い世界で見ていると、それしか選択肢がないように思えるけど、広い世界を見ればどうってことないことにあーだこーだと悩んでた、ってことになります。人の目を気にして悩むことって、すごくちっぽけなことなんだって気づきます。

自分を知って、自分のために生きる

言われてみれば当たり前のことなんですよね。

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