3月9日から12日まで3泊4日という日程で東北の三陸沿岸に行ってきました。「とうほくのこよみのよぶね」を行うためです。今年から2年間本家こよみのよぶねでリーダーを務めさせていただくため、とうほくのこよみのよぶねにも参加させていただきました。
そもそもこよみのよぶねとは、過去にもこのブログで紹介したことはありますが、日比野克彦さんが総合プロデューサーを務める岐阜の冬の風物詩です。夜の時間が一番長い冬至の日に1~12までの数字と干支の巨大行燈を長良川に浮かべ、その年を振り返りましょうという粋なイベントです。僕は2014年から毎年関わらせていただいております。
その3・11バージョンがとうほくのこよみのよぶねです。
3月7日にはその準備をして、3月8日にはトラックに積み込みをし、3月9日から4日間東北へ。車での移動なので、交代で運転しながらですが、なかなかハードです。とうほくのこよみのよぶねの場所は釜石ですが、9日は、石巻から被災地の現状をみて回りました。その時の印象が先日上げた記事です。
とうほくのこよみのよぶねは、10日に行燈制作ワークショップを釜石PITにて行い、11日に釜石 宝来館にて組み上げ、港へ移動、そして夕方出港し、海へ浮かべ、静かな時間を過ごします。
そして、終了後解体。という流れでした。
目次
10日 釜石PITでのワークショップ
刃物のまち岐阜県関市の運送会社エルテックさんが必要な道具を積み込んで10日に釜石に運んできてくださいました。(しかも下道ですよ!)
釜石と岐阜の関のコラボです。
必要な道具を下ろし、養生シートを敷き詰め会場を準備します。
ワークショップは午後から和紙貼りなどを行うため、行燈の骨組みを急ピッチで作ります。
なんとかお昼までに3・11が完成!
お昼休憩後、神戸大学や岩手大学の学生ボランティアたちが参加し、行燈の骨組みに和紙を貼っていきます。別ルームでは、地元の園児たちが数字行燈の下の船型行燈に貼り付けるための模様を切り抜き、そしてデコレーションするワークショップを日比野さんらが行っていました。
園児たちが帰るときの集合写真。
その後10日の作業が終わり、一度すべて組み上げてみました。
みんなも苦労の末出来上がった3・11行燈に歓喜の声!
そして作ったこの船&数字行燈はすぐ解体し、会場となる宝来館へ運ぶためトラックに積み込み、その日は終了。
11日 宝来館でのワークショップから港へ
宝来館という場所の意味
宝来館は2011年3月11日の東日本大震災での津波で被災した釜石の海沿いにある旅館です。その時の映像があり、この映像のおかげで世界中の人に知られる存在になりました。
この映像の中で皆さんが逃げこんだ旅館の裏山は現在道が整備されています。
本番までの下準備
3月11日は宝来館の横の空き地で、前の日に作った行燈と船型行燈を組み立てます。行燈はトラックでの運送中に破れたりするので、再び補修作業から。
船型行燈も組み立てていきます。
お昼をはさんで電球やバッテリーなどもチェック。
午後2時46分には宝来館に来ていた人全員エントランスに集まり、黙とうを捧げました。そして風船を天へ。
その後、行燈を港まで人力で運びました。
港では、3・11のそれぞれの船行燈を連結し、さらに漁師さんの船へ連結。
たくさんの人が関わりサポートしてくれたおかげで、例年以上に順調に事が運んだそうです。
出港前の集合写真
そして出港&点灯
海へ出向し、定位置に定まったら照明のスイッチを入れる。その点灯の役目を担当させていただきました。
ですので、船に乗り込み、船から行燈を引いていくのを見ることができました。
そして、定位置になったところで、陸側と連携を取りながら、スイッチオン。
この時は、まだ明るかったので照明がついているのかどうかすらわかりにくかったです。
そしてあたりは暗くなり、徐々に浮かび上がる
すこしずつ陽が落ち始め、夕暮れ時に。それに従い、徐々に3・11の行燈が浮かび上がってきました。
最後はこのような情景に。
たくさんの人が見に来てくださいましたが、みなそれぞれが7年前の3・11の日のことを思い、亡くなった人へ祈りを捧げ、そして今を考えていました。
終了後は、すぐに解体し、岐阜へ!
夜7時になり、とうほくのこよみのよぶねは終わりました。
漁師さんと日比野さんが船で行燈を引き上げに向かいます。そして、再び陸に戻された行燈は、その場で解体されていきました。
そして、それぞれの道具や行燈はきれいにトラックに積まれていき、
やりきったメンバーたちで記念撮影。
そしてエルトラックの運転手は、早速岐阜へ向かって出発したのでした。
*今回制作した数字行燈のうち「3」は今年12月の本家こよみのよぶねに使用することになりました。
とうほくのこよみのよぶねに関わって
こよみのよぶねのリーダーに指名され、それと同時にとうほくのこよみのよぶねにも参加することになりましたが、現地の人たちも楽しみにしているイベントに関わらせていただくことができ大変うれしかったです。
震災直後はとうほくのこよみのよぶねもいろいろ大変なことが多かったようですが、今では現地の人たちと一体感を持ってできる定番のイベントとなっていました。これまでとうほくのこよみのよぶねを支えてきてくださった歴代のリーダーたちに感謝です。
3・11に関しては、人それぞれが様々な感情を持っていると思います。
そういった思いに向き合う時間を作る。
それはこの3・11という日に被災地で、日本のどこかで、世界のどこかでたくさんの人が持っている時間です。
とうほくのこよみのよぶねはその一つであり、特別な情景を生み出し、その時間に深みを持たせてくれます。
どの立場で何を考えるか。そしてその時間をそれ以降の日々にどう生かしていくのか。
僕の場合は、こういうイベントはもちろん、日々の暮らしも含め、改めて人との関わり・協同の重要さ、そして感謝の気持ちを考えるきっかけになりました。
来年もとうほくのこよみのよぶねで来たいと思います。