独立・起業 生き方

岐阜県立森林文化アカデミーを退職しました。

2017年3月31日

卒業 森林文化アカデミー

2017年3月31日をもって、岐阜県立森林文化アカデミーを退職させていただきました。

最近、無職父だといって騒いでおりますが、本気で現在無職になったわけです(笑)

ちなみに上の写真は、学生からいただいたメッセージブックの表紙です。ありがとう。

今考える自分の仕事について

森林文化アカデミーには5年間務めさせていただきましたが、本当に色の濃い5年間だったと思います。学んだことが多すぎます。森林たくみ塾を出たばかりの僕がなぜか経験もほぼないのに木工分野の教員として採用されることになり、とにかく務めを果たすべく精いっぱい「木工を教える」という仕事にあたってきました。

その中で気づいたこともあります。

  • 人と接することも何かを教える(伝える)ということがやっぱり自分に合っている、ということ。
  • (潜在的に、意外と多く)世の中の人は、ものをつくりたいと思っていること
  • 一般的に木材を手に入れる、木工をやるといったときにリーチできる情報、資源に偏りがあるということ。

僕はよくこんな話をします。

「なんで見渡せばこんなに山があって木がたくさん生えているのに、ホームセンターに行くと外国の木ばかりなの?」

プロフィールの中でも書いていますが、自分の仕事の流儀として次のようなことをいつも頭において仕事をしています。

  • 地域の資源を使うこと
  • 地域の人のためであること
  • 上記2つを「ものづくりとまちづくりの掛け算」で地域の価値を高めることと

大学時代からずっとあるまちづくりのこと。そして、木工をはじめてから気になっている地域の資源を使うこと。こういうことを掛け合わせて、ものをつくる、という行為以上の価値を地域に生み出せるような仕事をしていきたいと考えています。それは、人としての暮らし方につながるところでもあります。

たくさんの経験がこれから必ず役に立つ!(はず)

アベマキ学校机プロジェクト

このブログは個人ブログなのでこれまで森林文化アカデミーの仕事のことをあまり書いてはきませんでした。この5年間、学校で木工を教えるだけでなく、さまざまな作品を作り、さまざまなプロジェクトを行ってきました。

岐阜県美濃加茂市と共同で取り組むアベマキという樹種を使った地域プロジェクト「アベマキ学校机プロジェクト」はまさに僕がずっとこんな取り組みがやってみたいと思っていたことをそのまま実現させてもらったプロジェクトでした。地域に群生しているアベマキを地元の小学校の机の天板として活用していくというもので、5,6年生が伐採、製材、製造に携わり、翌年入ってくる新1年生に贈呈するというプロジェクトです。小学校という地域社会の核を舞台に、地域資源の恵みを地域の子どもたちが享受し、継続的な里山の利用を実現するプロジェクトはウッドデザイン賞 優秀賞(林野庁長官賞また)も受賞しました。
今では、地域住民で食の道具をつくろう、ということでマイ椀プロジェクトも進めています。いずれはそれが給食の食器になることを目指しています。

また、岐阜県庁の知事室入り口のカウンターデスクを制作させてもらったこと、皇太子殿下が森林文化アカデミーへ行啓されたときの贈呈品を制作させてもらったことをはじめ、本当に多くのものをつくる機会をいただきました。授業や研究を通して企業や公共施設といくつか商品開発ができたこともよかったです。

学校教育ということで、さまざまな企業や団体、工房などの現場を視察できたこと、林業や木工など最新の情報、技術を知ることができたこと、エコプロダクツ展など出展側を経験できたこと、さまざまなイベントの主催側を経験できたこと、小学校、中学校、高校などで講演させていただいたこと、さまざまなフォーラムにお呼びいただき講演させていただけたこと、、、、

こうやって挙げていくとほんときりがありません。

そして、こうしたお仕事の中で出会うことができた人々とのつながりがまさに宝です。

振り返ると、ほんとにたくさんのことを経験させていただいき、人とのつながりを築けた5年間だったと思います。

なぜこのタイミングで辞めるのか

岩手県 洋野町 大野 おおのキャンパス 秋岡芳夫

多くの経験をさせていただきましたが、今回辞める決断をしました。「人生は旅」であると思っているので、もともと同じ場所に長くいるたちではありません。それでも5年間同じ場所にいたことは、自分の人生の中で、小学校に次ぐ長期間記録です(笑)

アカデミーに採用が決まった際、いったん5年を区切りにその次を考えよう、と決めていました。

昨年の今頃、次の1年が5年目だ、と思ったとき、本気で悩みました。そのまま続けるか、辞めて次へ進むか。そのまま勤めていれば、同じように意味のあるプロジェクトを展開できるかもしれない。もっといろんな経験ができるかもしれない。そんな思いもありました。もちろん、トヨタ自動車を辞めるときと違って、今は子どもがいます。その責任は果たせるのか、そんな悩みもありました。

それでも最終的に延長線上での成長を考えるより、1段2段登ったステージでまたチャレンジして、違う景色を見てみたいという気持ちが勝り、やはり5年というタイミングで辞めることを決意しました。

それから1年間、辞めた後どうするのか、というので準備をしてきたわけです。

不思議なことに、年末年始身の回りの整理をしていた時、トヨタを辞めるときにいろんな考えを書きなぐっていたノートが出てきました。自分の思い、生き方、家族のあり方、仕事のあるべき形、いろんなことがそこに書かれていました。その中に、「36歳で独立をする」という一文がありました。まさに今年36歳。当時の僕が思い描いていた地点にいるわけです。不思議だなぁと思います。

で、これからどうするの?

長良川おんぱく 本格 木組み おもちゃ箱 レポート

冒頭に書いたように

  • 人と接することも何かを教える(伝える)ということがやっぱり自分に合っている、ということ。
  • (潜在的に、意外と多く)世の中の人は、ものをつくりたいと思っていること
  • 一般的に木材を手に入れる、木工をやるといったときにリーチできる情報、資源に偏りがあるということ。

といった、木の世界、木工の世界、ものづくりの世界では業界と一般の人たちとでは大きなギャップがあります。

結局僕は、

  • 地域の資源を地域の人が使うことが当たり前の世の中にすること
  • 暮らしの道具を自ら作る人を増やしていくこと

に向けて取り組んでいきたいわけです。

地域の材料を使うことにこだわり、みんなの「つくりたい」をとことんサポートできる工房を作っていきたいと思っています。

一方で、素材の価値、技術の価値を最大限に生かし、かつ地域・社会に対して、または人々の人生・暮らしにおいて意味を持つ商品を生み出していきたいと思っています。

このあたりのことは、後日改めて書きたいと思っています。

まとめ

以上、少し長くなってしまいましたが、3月31日大きな節目を迎えました。大きな期待と大きな不安抱きながらも、支えてくださる、応援してくださる皆さんの温かい声に励まされ、次のステージに進もうと思います。

これからも、よろしくお願いいたします。

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