日記

障がい者でなくても、難聴であれば、補聴器を買うべきです。

2011年12月9日

補聴器

先月末、あることをきっかけに補聴器を買う決心がつきました。「決心」という言葉を使うほど、今までさんざん悩み続け、そして今回の決断です。

難聴になったきっかけ

僕が難聴になったのは、ちょうど6年前(2005年末)に風邪をひいた時です。風邪から左耳の中耳炎に変わり、気づいたときには鼓膜は溶けてなくなっていました。耳鼻科で中耳を見てもらったとき、「あれ~鼓膜がないがな~。穴が開いとるとかそんなレベルじゃないね」と。地元の耳鼻科から市民病院への紹介状をもらい、最終的に鼓室形成術を受けました。全身麻酔の手術はその時が初めてでした。

しかし、新しく作られた鼓膜が分厚くなってしまい、膜の役割を果たさず、聴力は下がってしまいました。それから数回手術を受けましたが、聴力は戻ることはありませんでした。

障がい者でなくても、補聴器という選択

聴力は落ちましたが、その時の僕は補聴器という選択肢を持っていませんでした。補聴器はもっと苦しんでいる人がつけるもので、僕なんかがちょっと聞こえが悪くなったからといってつけていいものだと思わなかったからです。

それから数年、話す人の口を見るようになり、聴力が左に比べて強い右耳を傾けるようになり、会議などは右耳で聞きやすいように左側に座るようになり、何度も聞き返す自分が嫌になり、話している内容が聞こえなくても、わかったふりや憶測で答えるようになり、話が噛み合わなくて変な顔をされるのがとても怖くなり、人付き合いも少し億劫になっていきました。一番悩んだ時期が、会社勤め時代と重なったため、結構つらいものがありました。

そしてこないだ、もう限界だ、そう思いました。

それは、ある採用試験での面接のこと。質問された内容をことあるごとに聞き返し、面接官に嫌な顔をされました。話を進める中でも、相手の質問を推測して回答を出している自分がすごく情けなく思ったのです。結局その採用試験は合格だったので、終わりよければすべて良い、と言いたいことですが、社会人として相手の声が聴けないことは絶対的に不利なのです。

障がい者でなくても、補聴器という選択

今日勇気を出して、補聴器の相談に行きました。

最初は「ご家族の方のものですか?」と聞かれましたが、自分のだと告げると、一つ一つ丁寧に説明してくださいました。

聴力検査も慣れたもの。何十回これをやってきたか。ただ、結果のグラフを見た時涙が出てしまいました。見慣れたグラフの横に、「軽度」「中度」「高度」という文字があり、僕の右耳は軽度難聴。左耳は音域によって中度と高度が混ざっていました。今まで医者に「聞こえが悪いですね」と何度も言われてきましたが、自分がどのくらいの難聴なのか、その度合は聞かされていなかったのです。

一部、高度難聴がある、なのに自分は何年も普通を装ってきた、ばかみたい、そんな思いが溢れてしまいました。

音が聞こえる、当たり前のことがこんなに素晴らしいことだとは!

お試しの補聴器をセッティングしてもらい、生まれて初めての補聴器を装着しました。
店のBGMがきこえるようになり、
パンフレットやビニール袋を触る音が聞こえるようになり、
自分の足音が聞こえるようになり、
落ち葉がかさかさと風に運ばれる音が聞こえるようになり、
車の鍵を開ける音が聞こえるようになり、
ウインカーの音が聞こえるようになり、
車内の音楽の音量が半分になり、
テレビの音が10下がり、
嫁の話し声がすべて拾えるようになり、
息子のシャウトがうるさすぎ、
こんなに音が溢れているんだっていう驚きと感動の渦巻きに飲み込まれました。

補聴器っていいですね。補聴器買います。来年からはよく聞こえる自分になっていると思います。

家族や友人知人のみなさん、いままでほんとにごめんなさい。

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