ビジネス 日記 経営

【9年の実体験】小さな会社の経営で意識してきた5つのこと

2026年5月18日

椿大神社 三重県 ツバキラボ

みなさん、こんにちは。

写真は、毎年会社設立記念日に参拝している三重県になる椿大神社です。会社名がツバキラボということで、椿つながりで毎年参拝に行きます。

さて気がつけば、ツバキラボを立ち上げてから9年が経ちました。2017年5月10日、たった一人で始めた木工房が、今では10名ほどの仲間と一緒に、①会員制木工シェア工房、②木製品の製造、③CNC木工旋盤をはじめとした機械・ツール販売、④地域資源活用コンサルティングと、いくつもの事業を回す会社になりました。

正直、会社を成長させようと夢中でやってきて、9年経ったという感覚です。実は岐阜に戻ってきて最初に始めた個人事業での木工は、うまくいかずに畳んでいます。その苦い経験があったからこそ、2回目となるツバキラボでは「思いつき」ではなく、ちゃんと意識して経営に取り組んできたつもりです。

今日は、この9年間で僕が「これは大事だ」と意識的に取り組んできた5つのことを、自分の整理も兼ねて書いてみたいと思います。これから独立しようとしている人、小さな会社をやっている人の何かの参考になればうれしいです。

1.事業の柱をつくる

まず最初に意識したのは、「柱を複数つくる」ということです。

独立したばかりの頃は、とにかく目の前の仕事をこなすだけで精一杯でした。製作も営業も事務もすべて自分でやる。でも、一つの収入源だけに頼っていると、その仕事が止まった瞬間に会社も止まってしまう。これは前回の失敗でも痛いほど感じたことでした。

だから僕は、意識的に事業の柱を増やしていきました。今のツバキラボには、大きく分けて4つの柱があります。

4つの事業

  • 会員制のシェア工房
  • 木製品の受注製造(OEMやオーダー家具)
  • 木工旋盤を中心とした道具・機械の販売開発
  • 地域資源活用コンサルティング

これらは一見バラバラに見えるかもしれませんが、すべて「地域資源を活用し、人々の暮らしを豊かにする」というパーパスに根付き、「木」と「ものづくり」という一本の幹からのびた枝です。一つの市場が冷え込んでも、別の柱が支えてくれる。そういう構造をつくることが、小さな会社が生き延びるためにはどうしても必要だと思っています。

ただし、柱は多ければいいというものではありません。何でもかんでも手を出すと、結局どれも中途半端になる。だからこそ、次の「バランス」の話が大事になってきます。

2.柱のバランスを考える(粗利率)

複数の柱を持つと、今度はそれぞれの「稼ぐ力」が違うことに気づきます。ここで僕がずっと意識してきたのが、粗利率です。

たとえば、受注製造のような仕事は、売上の金額こそ大きく見えても、材料費や加工コストがかさんで粗利率が低くなりがちです。また、機械や道具の販売事業も仕入販売のため、粗利率をあげることはしにくいです。一方で、シェア工房やコンサルティングなどは粗利を高く保てます。同じ「100万円の売上」でも、手元に残るお金はまるで違うんですね。

独立したばかりの頃は、とにかく売上を立てることに必死でした。しかし顧問税理士に粗利の大切さを教えていただき、それぞれの事業でいくら粗利を稼ぐのか、その粗利率をしっかり意識して経営するように指導いただきました。

だから僕は、それぞれの柱が会社全体の中でどういう役割を担っているのかを、いつも意識するようにしています。売上をつくる柱、利益をつくる柱、未来への投資としての柱。この組み合わせのバランスを見ながら、「今、どこに自分たちの時間とエネルギーを配分するか」を考える。これは社長にしかできない仕事だと思っています。
数字を見るのは正直しんどい作業ですが、ここから逃げると、いつまでたっても「忙しいだけで儲からない会社」から抜け出せません。

3.唯一無二の存在になる努力をする

3つ目は、「他にはない存在になる」ということです。

以前のブログでも書きましたが、ビジネスの基本はとにかく差別化です。お客様には必ず競合相手がいて、その中から選んでいただかなければ、会社は成り立ちません。だったら、「あなたじゃなきゃダメ」と思ってもらえる存在になるしかない。

僕がこの9年間でやってきたのは、まさにそのための積み重ねでした。
木工旋盤(ウッドターニング)という、日本ではまだマイナーな分野にあえて本気で取り組み、国内で初めての初心者向けガイドブック『木工旋盤の教科書』を書きました。海外の優れた木工旋盤メーカーであるROBUST ToolsやVicmarcの日本における正規取扱いも担っています。会員制のシェア工房という業態そのものも、全国的にまだ珍しい存在です。
一つひとつは小さなことかもしれません。でも、「木工旋盤といえばツバキラボ」「あの本を書いた会社」と思ってもらえる積み重ねが、気がつけば他社が簡単には真似できない「唯一無二」をつくっていく。そのために、とにかく動きまくること。PCやスマホの画面を見ていても何も起こりません。自ら足を運び、生の情報を得る。人と会う。モノを見る。その行動の中で、他の人が持てない視点、つながりが生まれ、事業の種が芽生えていきます。

誰かと同じ土俵で消耗戦をするのではなく、「自分たちにしか立てない場所」を少しずつ広げていくこと。差別化は一発逆転ではなく、地道な積み上げの結果なんだと、今は実感しています。

4.露出を生み出す

どんなにいい商品やサービスをつくっても、知られていなければ存在しないのと同じです。これも、独立してから痛感したことでした。
職人気質の世界には、「いいものをつくっていれば、いつか誰かが見つけてくれる」という考え方が今でも根強くあります。気持ちはよく分かります。でも、現実はそうではありません。自分から発信して、見つけてもらう努力をしなければ、誰も気づいてくれないんですね。

だから僕は、意識的に「露出」を生み出すことに取り組んできました。(この個人ブログSimplife+での発信は逆に止まってしまうことになりましたが……。)
独立した当初はプレスリリースをたくさん出し、メディアに取り上げてもらうことに必死でした。会社のコーポレートサイトを改めてみると、いろいろなところに取り上げていただいたんだなぁと実感します。2020年から始めたYouTube。SNSでの情報発信。本の出版。イベントの開催。地域の活動への参加。これらはすべて、「ツバキラボを知ってもらう接点」を増やすための取り組みです。

発信を続けていると、思いがけないところから声がかかったり、お客様や仲間とのご縁が生まれたりする。露出は、未来の出会いの種まきなんです。
一つひとつの発信がすぐに売上につながるわけではありません。でも、種をまき続けていれば、いつか必ず芽が出る。そう信じて、これからも発信を続けていくつもりです。

5.常に可能性を探し続ける

最後に、これが一番大切かもしれません。「常に新しい可能性を探し続ける」ということです。
会社が少しうまく回り始めると、人はどうしても現状維持に流れがちです。でも、変化のスピードが速い今の時代、立ち止まることは、後退することと同じだと思っています。
僕自身、振り返ってみると、いつも何かしら新しいことに首を突っ込んできました。CNC木工旋盤という未知な機械の日本導入。バイオマスや木質ペレットの可能性の検討。オンラインの木工旋盤コミュニティ。古民家を使った木工体験施設の構想。地域の広葉樹活用や里山再生への関わり。そして今は、自社初のオリジナルブランドの立ち上げや木工旋盤のオンライン動画スクールの構築を行っています。

アメリカ、オーストラリア、ドイツ、台湾、中国などとにかく現地に足を運び、リアルな情報を得ることと人とのつながりを大事にしてきました。

もちろん、すべてが形になったわけではありません。途中でやめたものも、まだ構想のままのものもあります。でも、可能性を探し続けるプロセスそのものが、会社を、そして自分自身を成長させてくれていると感じています。

40歳を過ぎた頃にも書きましたが、僕は新しいことにチャレンジしているときが一番ワクワクします。経営も同じで、「次は何ができるだろう」と探し続ける気持ちを失ったら、その時点で会社の成長も止まってしまう。だから僕は、仲間と共に、これからも貪欲に可能性を探し続けたいと思っています。

おわりに

「事業の柱をつくる」「柱のバランスを考える」「唯一無二の存在になる」「露出を生み出す」「可能性を探し続ける」。
こうして並べてみると、どれも特別なことではないかもしれません。でも、この5つを意識的に、地道に続けてきたことが、9年間会社を続けてこられた理由なんだと思います。

経営にウルトラCのような特別な技はありません。あるのは、当たり前のことを当たり前にやり続ける、地道な積み重ねだけ。1日1%の成長でも、続ければ大きな差になる。それは経営においても、まったく同じだと感じています。

これから10年目に向けて、また新しいことにチャレンジしていきます。

-ビジネス, 日記, 経営
-,

Copyright© Simplife+ , 2026 All Rights Reserved.