木工で、僕が一番面白いと思う仕事は「木取り」と呼ばれる
製材された板を作るモノのパーツの寸法に加工していく工程です。
たぶん、木工に携わる人で「木取り」が一番おもしろいという人は多いと思います。
製材され、長い間桟積みされ、乾燥させられた板は、正直汚いんです。
表面は灰色に汚れ、時にはカビが生えていたり、
時には変な虫がこびりついていたり、
さらにはなんかの動物の糞があったり、
究極には、鳥の巣があったり。
この時期は、カメムシの大量発生でくさかったり。
そんな汚い材が、切ったり削ったりする中でどんどん輝いてきます。
木本来の色が戻り、木目があらわになる。
そんな変化を見るのが好きなんです。
しかし、この木取りは、木工の中で一番難しいと言われています。
汚れていても、木目が見えなくても、
その木が持つ特徴を把握し、その特徴に合わせた加工をしてやらないと
使い物にならなくなってしまうからです。
節、虫穴、木地色、木目、硬い材、柔らかい材、
同じ種類の木材でも、一枚一枚、一本一本まったく性質が異なります。
それをさっと読み、そして加工する。
経験を積まないとなかなかスムーズにできません。
経験を積まないとうまくできないなら、経験を積みましょう。
失敗しても、怒られても、やらなきゃいけないなら、やるしかないでしょう。
というわけで、明日も一日中木取りをしてきます。