自然の創造物ってなんでこんなに出来上がってるんでしょうね。
不完全のようなフォルムでもあり、それが完全でもあり、
この絶妙な形でのいでたちが、凛としていて、見惚れてしまいます。
さて、昨日から新しい1年生の手工具の授業が始まりました。
木工の道を歩みだした6人。
その第1歩が今ここにあるのです。
以前のブログにも書きましたが、
木工家の井崎正治さんの授業が4月と5月初めに2回ありました。
大御所の木工作家でもあり、生粋の職人でもあり、
繊細なアーティストでもあり、敏腕なプロデューサーでもあり、
とにかく、その技術、知識、実績どれをとっても神のようなお方です。
そんな井崎さんは、名人の技術はいらない。
身の丈の木工、身の丈の作品作りが重要というお話をされました。
また、生活の中で自分の作品を使う意義を何度も説いていました。
僕は、木工を仕事としているけれども、
人間国宝を目指しているわけでもなく、国展を目指しているわけでもなく、
売れっ子作家を目指しているわけでもありません。
僕が目指しているものは、豊かな暮らしがある町をつくること、その一点です。
よく「木のものづくりの楽しさを伝えたい」と言う時がありますが、
正確には「自分で作った木の生活道具、家具を自分の暮らしの中で使う、
その喜び、その豊かさを感じる人を増やしたい」んです。
木工はもっと広く一般に広がるべき、だと思っています。
日曜大工よりも一つ上のレベルでものをつくることができたら、
おいしい手料理を、自分の作ったお皿に盛ることができたら、
大人になってもずっと使えるような勉強机を子供に作ってあげることができたら、
週末のんびり読書をする時に、自分で作ったイージーチェアに座ることができたら、
代々受け継がれるような家具を自分が作ることができたら、
数段上の暮らしの豊かさを感じることができると思います。
そのための環境、設備、知識、技術を開放したいのです。
自分自身まだまだ未熟なところは多々ありますが、今は下積み期間。
いつか遠くない未来に、木工も、それを伝える・教えることも含めて、
凛とした仕事ができるよう、がんばりたいと思います。